「私がですか? 今までは誰も気にもとめていなかったのに?」


「今朝、鏡で自分の顔を見たかい? 少し、変わってはいなかったかい」


そう言えば、とレオノーラは鏡に写った自分を思い出しました。温かなお風呂に浸かり、いい香りのする石けんで頭から足の先まで洗ったせいか、髪も肌もつやつやしていました。少しだけ、そばかすが薄くなった気もしました。


でも、人の目を引くというのは大げさではないかしら?


「よくなった気もしたけれど、それでもほんの少しだと、思います」


「今はね。しかしレイランにつく頃にはもっと美しくなっているはずさ。少なくとも、あの領主はすでにお前を見ているよ」


「領主様が?」


レオノーラは素っ頓狂な声をあげ、前を走る領主の馬車を見ました。

領主は王女に誕生プレゼントと早く渡したいと言い出して、急いで荷をまとめて、レオノーラ達に同行しているのでした。