そして、領主の館で一晩泊まり、レオノーラはパメラと共に王宮のある首都レイランに向けて出発しました。


パメラの馬車は、昨日乗った領主の持ち物の馬車よりも広く、ビロードの張られたふかふかの椅子の豪華なものでした。

こざっぱりとした洋服を着たレオノーラは、馬車の中できょろきょろしてパメラに叱られました。


「これしきの事で珍しがるんじゃないよ。王宮に行けばまだ豪華なんだ。いいかい? 王宮では今みたいにはしゃぐんじゃないよ」


レオノーラはしゅんとして小さく頷きました。
パメラは馬車が街をすぎ、草原の真ん中をひた走っているのを確認してから言いました。


「今はあたしだけだから、口をきいても構わないよ」


その言葉を聞くなり、レオノーラはほぅ、と大きく息を吐きました。昨日からずっと喋っていなかったのです。


「ああ、口がムズムズしたわ……、じゃない、しました。
でもパメラ様、何で口をきいてはいけないんですか?」


「ふん、お前はまだ気がついていないようだけれどね、お前のその容姿は人の目を引くんだ。それはいい事でもあるし、悪いことでもある」