領主はパメラ達に近づき、おどおどと目を伏せたレオノーラをじろじろと見回しました。

まあ、この方が領主様だったなんて。
レオノーラは体を小さくして、もう一度頭を下げました。


「妖精に魅入られて、声を奪われたのかもしれないね。この子はあたしが弟子にでもするとするよ。分かったね?」


不躾な視線を寄越す領主に、パメラが言いました。その言い方はやはり力のある大魔術使いらしく重々しく、領主はレオノーラからぱっと目を離してから頷きました。


「は、はい。分かりました。パメラ様のお好きにされて下さい」


そう言いながらも、領主は少し残念そうにレオノーラの体を眺めました。
うつむいていてしっかりと顔は見れないものの、なかなかに可愛らしい顔をしている。
あと数年経てば、なあ。


「領主殿、ついてはこの娘に何か服を用意してくれんか。あたしの弟子がこんなボロ布をまとうのは許せなくてね」


「お安いご用でございますよ」


領主はすぐに、仕立てのよい絹の服を用意してくれました。