お父さんはそんなお母さんの不器用さを愛しく思い、いつかは昔のような心清らかな人に戻ると信じて一緒になったのですが、傷ついたお母さんの心は頑なで、二人はいつもお互いの距離を計りかねていました。

レオノーラはそんな両親の気持ちを知りませんでしたが、たまにお母さんの瞳の端に浮かぶ暖かなものに気がついていましたし、何よりお母さんが少ない生活費から作る美味しいスープが大好きでしたので、多少お母さんが怖くても平気でした。

お金がないから働くんだよ!と言われて朝早くから山に放り出されても、学校に行かせてもらえなくても、レオノーラは両親が好きでした。もちろん、顔を覚えていない本当のお母さんも。