レオノーラは、横にいるリュアネスの横顔を見ました。
少し赤くなっているように見えます。


「リュイ?」


リュアネスがううー、と唸り、ばっとレオノーラの両肩を掴んで正面から顔を見つめました。


「遠回しに言うのは柄じゃないから、はっきり言うよ!
レオノーラ、オレ、君のそばにいていいかな?」


若くてふてぶてしい魔術使いは、今やゆでダコのように真っ赤になって、きょとんとした可愛らしい娘に、怒鳴るように言いました。


「え?」


「だから、オレと君の契約はまだ残ってるし、レオノーラはオレの主な訳で!
だから、レオノーラさえよければ、オレはずっとそばにいたいんだ」


ダメか? と魔術使いは困ったような顔をして言いました。


「……ダメよ、リュイ」

娘は首を横に振りました。その言葉にしょんぼりと俯いた魔術使いの頬に、娘は手を添え、にっこり笑って言いました。


「契約だとか、主だとかで、そばにいて欲しくはないわ。
私はリュイ……リュアネスに、ずっとそばにいて欲しい」


魔術使いの顔が輝きました。