「レオノーラ、パーティーに出なくて、よかったのかい?」


リュアネスがレモンキャンディを転がしながら、横にいるレオノーラの顔を覗き込みました。

湖面の月明かりに照らされたレオノーラは、こくんと頷いて笑いました。


「ええ。パーティーはもうたくさんよ。一生分のパーティーに出たもの」


つん、とすましたふりをして言うレオノーラに、リュアネスはくすくすと笑いました。


「そうか。まあ、パーティーなんて疲れるだけだしな。美味しい料理は、少し気になるけど」


「リュイったら、もう。相変わらず食いしん坊ね」


湖面にはゆらゆらと月が揺れています。

その月に石を投げ入れて水面を揺らしながら、リュアネスが言いました。


「……レオノーラは、このままパメラの弟子を続けるのかい?」


「ええ、そうね。私にはそれしかないわ。後は花売りくらいしかできないもの。
……リュイは、ビーワ国に戻るの?」


揺れる月を見ながらレオノーラが言いました。
リュアネスはもう1つ石を投げ入れました。ぱしゃん、と小さな水しぶきが上がり、波立ちます。


「いや、その……レオノーラは、オレがいた方が、いい?」


「え?」