翌日の昼過ぎ、みんなが見守る中で、ナマタ王子が目を覚ましました。


「よう、王子。目覚めはどうだい?」


しばらく天井やリュアネスの顔を見回していた王子が、不機嫌そうに言いました。


「低能な魔術使い様の顔を寝起きに見て、よいわけがなかろう」


「ふん、それなら大丈夫だな。泣いて礼でも言われたらどうしようかと思った」


鼻で笑ったリュアネスを横目で見て、王子はそっぽを向きました。


「礼は言わん。王族を助けるのは、王国専属魔術使いとして当然の事だろう」


「ハイハイ。そうですネ」


「ナマタ、大丈夫なの?」


リュアネスを押しのけてスプーン王妃が言い、国王も心配そうに顔を覗き込みました。
ナマタ王子はぽつぽつと返事をしており、その様子を見てリュアネスはそっと部屋を出ました。


「レオノーラ、ナマタ王子が目覚めたよ。もう大丈夫だ」


リュアネスは部屋の前で心配そうに立っていたレオノーラに笑いかけました。


「ああ、よかったわね。これで一安心だわ」


レオノーラも、ほっとしたように笑いました。