身代わり姫

『死ぬがいい。私の暇つぶしのジャマをした罪は、重いぞ』


「暇つぶしを邪魔した位で、カエルにされたり殺されたりするのは割にあわねーな」


リュアネスが呪文を唱えると、王子の剣が柔らかな光を放ちはじめました。

その剣を地面に突き立て、リュアネスは杖を取り出しました。


「お前にもオレと同じ目に合わせてやる」


『人間如きが小賢しい!』


悪魔がリュアネスに飛びかかろうとし、リュアネスが杖を構えました。


「レオノーラ! 水晶を掲げろ!」


え? 
レオノーラは物陰から飛び出しました。それから、胸元にしまっていた水晶のネックレスを慌てて取り出し、頭上に掲げました。


「妖精! 伏せてろ!」


悪魔がリュアネスに触れる、と思った瞬間、リュアネスの前に突き立てた剣が壁のように悪魔を弾きました。

バチン! という激しい音と、悪魔の気持ち悪い悲鳴がし、ついでリュアネスが呪文を唱え始めました。


『貴様……』


悪魔が体勢を整えてリュアネスを睨みつけようとした途端、その顔がぐにゃりとひしゃげました。何かに吸い込まれるように、右側の体が引っ張られ始めているのです。


『な、何だ!』