とうとう、レオノーラの処刑の日が来てしまいました。

厳めしい顔をした衛兵に連れられて、レオノーラは数日ぶりに外にでました。

空は高く澄んでいて、眩しさに目を細めながらも、レオノーラは太陽を仰ぎました。

ああ、このお日様を見るのも、これでもう最後なのね……。


「さあ! 来るんだ!」


ぼろぼろの馬車に乱暴に押し込まれ、レオノーラは中央広場に連れてこられました。


たくさんの観衆が取り巻く中、レオノーラは十字に掲げられた木に縛り付けられました。足元には、油を撒いた薪が山になっています。

レオノーラはがくがくと震えながら、ぎゅっと目を閉じました。


「国民を騙した悪女よ。そなたの罪を知るがいい」


ナマタ王子が現れて、レオノーラを見上げました。


「お前の処刑が済んだら、私は兵を率いてマチホ国に向かう。私達を騙したマチホ国王に、お前の灰を投げつけてやろう」


王子の合図で、燃え盛る松明を持った衛兵がやって来ました。

パチパチとはぜる松明を受け取りながら、ナマタ王子はにやりと笑いました。


「何か言いたい事はあるかな? 最後にそれ位は聞いてやろう」


レオノーラは、黙って首を振りました。


さよなら、お父さん。

さよなら、お母さん。

さよなら、パメラ様。

さよなら、リュイ。


今まで心を勇気づけてくれた、小さなカエルの顔が思い出されました。

ああ、リュイ。
あなたは無事かしら?
どうか、助かっていますように。


涙が一筋、頬を伝いました。