レオノーラのいる牢を後にしたリュイは、姿を消して王宮内をうろうろしていました。


処刑は5日後に決まったか……。
それまでに、レオノーラを助けないと。


あの強固な警備の牢から、どうやってレオノーラを逃がそう。
自分の姿は消せるけれど、レオノーラまで消す力はない。


王宮の中庭にある池のほとりに座り、リュイは考えました。


……そうだ、オレ一人なら、マチホ国まで2日で戻れる。
パメラにいい知恵を貸してもらおう!


そうと決まれば、とリュイは立ち上がりました。


「ん? あれは……」


池の向こう側を歩いているナマタ王子の姿がありました。


あいつ、オレの事を魔物だなんて呼びやがって。

リュイは憎々しく思いながら、王子の姿を眺めました。


……最初から、あいつは気に食わなかったんだよな。優しそうなフリしてるのが分かったのかな、オレってばカンがいいよなあ。

王子の姿が見えなくなって、リュイははっと気がつきました。


いけね、早く行かなくちゃ!


リュイはふわっと体を浮かせて、マチホ国目指して飛び立ちました。