今日は、もう何回目か分からないくらい開催された、二人の結婚のお祝いの宴でした。

ナマタ王子は、相変わらずグラディス王女を疑っていましたが、みんなの前ではにこやかに、優しい仕草でグラディス王女をエスコートしていました。

なんてお似合いなのかしらね、と若い二人をみた人たちは口々に言いました。


「……あの、ナマタ様、私、少し中庭で休んできても宜しいですか? ここは暑くて……」


グラディス王女は連日のパーティーに疲れたのか、少しやつれた顔で申し訳なさそうに王子に言いました。


「ああ。構わないけど、一人で大丈夫かい? 誰か供の者をつけようか」


「いいえ、お気遣いなく。一人で大丈夫ですわ。ではすみませんが、少しだけ……」


グラディス王女はそう言い置いて、そっと広間を出ていきました。


ふん、パーティー好きな派手な女の筈がな。
やはりあれは別人のようだな。

ナマタ王子は、冷たい眼差しをグラディス王女の背中に向けました。