レオノーラは、ナマタ王子が自分の事を疑っているとは知らず、毎日へとへとになりながらも、グラディス王女として過ごしていました。
その日も、ようやく暇を見つけて、離宮のソファに倒れ込みました。

「ああ、王女様ってすごく大変だわ。お茶会にも出ないといけないし、パーティーにも出ないといけないんですもの」


王女様らしく、上品に優雅にしゃべらなくてはいけないし、パーティーではダンスを一曲は踊らないといけません。

慣れないかかとの高い靴を履いて歩き回るせいで、足にはマメがたくさんできて潰れてしまいました。
血が滲んで、歩く度にそれはそれは痛むのです。

ドレスを着る度に、コルセットで体をぎゅうぎゅう縛り上げられるのも、苦痛でした。
苦しくて、痛くて、呼吸するのも一苦労です。


「ああ。1日でいいわ。野山を走り回りたい……」