「マチホ国の宝石と呼ばれたグラディス様とは、どんな方でしょうか。楽しみですね」


「明日の正午にはこちらに着かれる。お前もそのつもりで、出迎えの準備をするのだぞ。私もこうしてはおられん」


キシル国王はそう言い、慌ただしく部屋を出て行きました。
バタンと扉が閉まり、足音が遠ざかるのを聞いてから、ナマタ王子は物憂げにベッドに倒れ込みました。


「ふん、国一番のワガママ女なぞ、欲しくもないわ。美しいだけの馬鹿女を妃に迎えるなんて、虫酸が走る」


ナマタ王子は、ベッドの横に飾られた花をぐしゃりと握りつぶして、嫌な笑みを浮かべました。