身代わり姫

グラディス王女がお乗りの、煌びやかな馬車の中で、震える手をそっと振っていたのは、レオノーラでした。

宝石を豪華に散りばめた王女のドレスを着て、やはり豪華な王女のティアラをつけたレオノーラは、泣きはらした目をしています。


一昨日の夜、王宮から何人もの家来たちが現れて、レオノーラは王宮にさらわれるように連れてこられたのでした。

怯えたレオノーラに、国王は厳しい声で命令しました。


「お前はグラディス王女としてビーワ国に嫁ぐのだ」


国王の言っている意味が分からなかったレオノーラに、大臣たちが威圧感のある声で、口々に説明しました。


呪いのとけないグラディス王女の身代わりとして、グラディス王女としてビーワ国へ行き、そして婚礼をあげるのだ、と。


一緒に連れて来られていたパメラが、反論して止めようとしましたが、国王は聞いてくれませんでした。