めくり上げたカーテンの向こうには、がさがさの枯れ木のような老婆がいました。
白くなっていて艶もなく、ただだらりと伸びたぼさぼさの髪。
顔はシミだらけで、眼堝は落ち窪み、澱んだ瞳だけがギラギラとしています。
そして、体から発する、魚が腐ったような悪臭。


「見ないで! 見ないで!」


この人は本当にグラディス王女なの?


レオノーラは恐ろしくて、膝がわなわなと震えました。

あの、若くて張りのある、雪のような肌の美貌の王女様の面影は、どこにもありません。


「なんと……、悪魔の呪いとはこれほどか……」


パメラまでもが眉間に深いシワを寄せ、震える声で言いました。

後ろで国王の嘆きの声がし、ベッドの中の老婆が、地の底から響くような声で泣き崩れました。



「パメラ様、お願いだ。助けて下され。グラディスはもうすぐ嫁ぐ身なのだ。これから幸せになるはずの身なのだ」