14才の地図

あたしは、キッとした眼で、真紀を見た。

「なんであたしが、逃げなきゃなんないの?」

「ふぅん」

真紀は、鼻を鳴らす。

「あたしは、なにも後ろめたいこと、してないから」

真紀が、ジョグに乗って、エンジンをかけた。

「案外、根性すわってんだ」

「ばかにしないで」

あたしも、セピアのスターターをはじく。

「すぐ喋れば、このまま帰してやったのに」

あわれむように、真紀が言った。

もし、ここで、あたしが泣きわめいて、ほんとのことを言ったら…?

真紀は、それを望んでるんだろうか?

でも、それこそ、ハンパだよ。

ここまでつっぱったら、泣きはいれたくない。

ハンドルを握った手が、少し震えた。

「ついてきな」

ひょいと顎をしゃくって、真紀が合図する。

ジョグは、発進した。

あたしは、黙って真紀に続いた。