14才の地図

「なんの噂?」

「朽木が、殺られたって…」

「えっ!?」

一瞬、後頭部をハンマーで殴られたような気がした。

「うそっ!」

真紀は、じっと表情を変えず、あたしの反応をうかがう。

「嘘ついてどーすんだよ」

「う、うん」

握りしめたてのひらが、じっとりと汗ばんでるのが判った。

鼓動が、だんだん早くなる。

「『血狼』ってチームが、朽木を殺ったって、流してるらしい。で、湘南を一気にシメるってさ」

「『血狼』…」

「まい、おまえ、朽木に会ったんだろ?」

びくっとして、真紀の視線をすくい上げた。

眼と、眼が合う。

眼をそらしちゃ駄目。

「いつ?」

「こないだの合同集会の翌日だよ。おまえが家出した日」

真紀の眼は、すごく迫力があった。

ちょっとでも気を抜くと、負けだ。