ここは、のり子んち。

プレハブの2階建て。

建築現場なんかに、よく建ってるヤツ。

のり子の父さん、建築会社やってて、その、会社の敷地の裏っちょに、のり子のために建てたの。

家出されるより、いーって。

だから、あたしみたいに行くトコのないコなんかが、ごろごろたむろしてる。

ここに住んでんのは、のり子と、あたしと、2年もプーやってる17才のエリ。

そして、『赤華』の副頭の香琳。

香琳は、今日は、立ち番だから、暑いのに外まわりしてる。

街でハンパしてるヤツを取り締まるんだって。

ゾクもこれでなかなか、タイヘンらしい。

「あー。真紀ぃー」

あたしを呼んだのは、真紀だった。

ジョグに乗ってる。

のり子んちは、鎌倉の長谷だから、ちょっと真紀んちからは、遠いんだ。

「おりといでよー」

まだ3時。

「まぁだ、あっついじゃんよぉー」

のり子もエリも、惰眠をむさぼってる。