14才の地図

じっと、朽木サンを見た。

たまらなく、愛しくなった。

ぎゅっと抱きしめて、頭をぐりぐりしたくなった。

あたし、この人に惚れちゃいそう…。

「じゃあな。サンキュー」

ドアが、ぷしゅう、と閉まった。

バスが発進する。

「朽木さぁん!」

叫んで、思わず、二、三歩、追いかけた。

朽木サン…。

朽木サン。朽木サン……。

何度も、その名前をつぶやいた。

たまらなく、切なかった。

こんな気持ちになったのは、初めてだ。

止められないかもしれない、と思った。