14才の地図

「あのさ。俺、かっこつけるつもりはねーけど…」

ぼそっと、朽木サンが、言った。

「5秒以内に駄目な奴は、もう、駄目に決まってんだよ」

「え?」

5秒…?

「それで、ボコボコにされてりゃ、世話ねーけどな…」

バスが来た。

あれ? 松浪と反対方向。

「俺、しばらく帰んないから…」

人差し指を、唇にあてる。

──アイツ、オンナハアタシダケジャナイカラァ…。

真紀ちゃんの言葉がよみがえる。

どこか、別の女のところに、行くのかなぁ?

「約束だぜ」

「う、ん」

朽木サンは、ニッと笑って、大儀そうにバスのステップを上がった。

あぁ。

ぼーっと生きてんのは、やだ。

なんとなく生きるのは、やだ。