14才の地図

「どうしてケンカなんかするの? それに、あの大人数の中に、10人が攻めて来たって、返り打ちにできるじゃん」

あたしは、かろうじて、それだけ、言った。

「他のチームも参加してたし、だれか、パクられることになったら、俺の責任だからな」

「でも…」

「俺らのチームは、走りが第一だけど、売られたケンカは、買うさ」

「そうまでして、何を護ってるの? チームの名前? それとも仲間?」

胸の奥が、熱くなってきた。

なんでか判んないけど、熱いものがこみ上げてきて、制御できない。

こんな、ばかなこと、ないのに。

ケンカなんて…。

怖いのに…。

だけど。

だけど、そんな人、見ちゃうと…。

自分がのほほんとしてるみたいで、くやしーじゃん。

ばかみたいなのに。

ほんとは、ぜんぜん、かっこいくないのに。

涙が出るくらい、うらやましー。

命がけで、護るものがあるなんて…。

本気で、何かできるなんて…。