14才の地図

「はははぁ…。家出かぁ…」

朽木サンは、笑った。

「朽木サンこそ、なんであんなトコ…」

だって、夏一番の集会に出ないなんて、おかしいって、緒方くんが言ってたもん。

「あー。バイクで事故(トラブ)っちったの」

「うそだ」

「嘘じゃねーって」

「だって、朽木サン、家は松浪だってゆってたじゃん。なんで江ノ島のほうから歩いてくんのさ?」

だって、反対方向だもの。仕事してる浜須賀のスタンドだって、そう。

ふうーっ。

大きく息をついて、朽木サンは、あたしを見た。

「ちょっと、寄り道だよ」

「喧嘩、したの?」

「だから、それ、黙ってろよ」

「なんで?」

「総長がボコボコにやられたなんて、かっこわりぃぜ」

「だって」

いきなり、朽木サンは、あたしの肩をつかんだ。

ちょっと、厳しい顔になってる。