14才の地図

と、そのとき。

もと来た方向にUターンしかけたあたしの視界に、不審な人影が入った。

向こうの方から、人間が1人、ヨタヨタと歩いてくる。

なぁに? あの人…?

若い男の人みたいだけど…。

全身、黒ずくめ。

黒い特攻服?

妙な予感めいたものが、あった。

ケガしてるみたい。

胸が、ざわざわする。

もしかしたら…。

あ。倒れた。

あたしは、反射的に走り出していた。

だんだん距離が詰まる。

その人は、見覚えがあった。

緒方くんと同じ、黒い特攻服。

赤いハチマキ。

あぁ。

頭が、血だらけ!

「朽木サンっ!」

あたしの予感は、的中した。