14才の地図

緒方くんは、角刈の人と一緒に、中央の方へ行ってしまう。

「オラーッ、静かにしろぉーっ!」

幹部数人の気合いの入った声で、辺りのざわざわが、水をうったように静まりかえった。

すごい統率力。

全校集会だって、こんなに静かにならない。

「『紫天使』総長補佐の緒方だ。今日の参加チームは、12。総長にかわって礼を言う。

今日、一緒に走ってくれるのは、鎌倉の『駆離観那瑠(くりみなる)』の奴らだ。今から頭紹介するから、仲よく走ってくれ」

紹介を受けた新参加チームのリーダーが、手短かに挨拶する。

続いて、特攻隊長がコースの説明に入る。

警察とか、ケツ持ちとか、信号がどーのとか、簡潔に話している。

あたしが、あっけにとられて聞いていると、いつのまにか緒方くんが戻って来ていた。

「怖くない?」

緒方くんが、優しい声で訊く。

正直いって、心臓がドキドキして、口から飛び出しそうだったけど、

──動揺は、顔に出した奴の負けだよ。

真紀ちゃんの言葉が、あたしの頭の中で反響している。