「まい…。おまえ、いつの間にそんな…」

パパは、信じられないという眼であたしを見た。

まるで、宇宙人でも見るような眼差しだ。

自分の娘は、スナオないいこだと、信じ込んでいるんだ。

ばかみたい。

あたしは、飼い主に従順なポチじゃない。

ちゃんと生きて、考えて…。

「とにかく、落ちつきなさい」

落ちつくのは、パパのほうでしょ。

「おまえが、そんなに嫌なら、もっと時間をかけるよ。でもな、女の子には母親が必要なんじゃないかと、パパは思うんだが…」

じゃあ、どうして本当にママが欲しかったとき、あたしにママはいなかったの?

初めて生理になったときも、1人でスーパーでナプキンを買ったし、初めてのブラジャーも、店員さんに相談して、やっと買えた。

パパは、なんにも判ってない。

あたしは、もう、大人なの。

もう、ママなんて、要らないの。

パパの奥さんは、所詮、『別の女の人』でしかない。

「今日は、もう、この話はやめにしよう」

パパは、ため息をついた。