14才の地図

ぱるぱるぱるんっ!

ひゃあー。走ったぁーっ。

無免っ! ノーヘルっ! 2人乗りっ!

すっごぉーいっ!

すごい。すごい。すごい。

ドキドキする。

心臓が、ドキドキする。

景色が、風に飛ぶ。

カンカン照りの太陽と、潮の香り。

海の風が、腕を、足を、頬をなぶる。

きもちいー。

なにもかも忘れてしまえるみたい。

風が、こんなに気持ちいいなんて…。

あたし、ぜんぜん知らなかった。

「…ち、いー…」

「なぁに? まーい」

あたしの声は、風に飛ばされて、真紀ちゃんに届かなかったらしい。

あたしは、声を張り上げた。

「きもちいーって、言ったのぉっ!」

今度は、聞こえたらしく、真紀ちゃんは、大声で笑った。

そして、あたしも、笑った。