14才の地図

「なんか、面白くねーこと、あったんだろー?」

「なんで、判るの?」

「そんな顔してるよぉ」

あたしは、あわてて、手の甲で、乱暴に涙をぬぐった。

真紀ちゃんは、くすっと笑う。

「乗んな」

えー? スクーターに? 2人乗りぃ?

「でもぉ…」

もじもじして、ためらってるあたしに、真紀ちゃんは、あっけらかんと言う。

「これから、浜須賀のスタンドまで行くんだ。すぐ、そこじゃん」

うーん。1キロちょい、ってとこか。

家をあんなかたちで飛び出してきた以上、すぐには帰れない。

だからって、行くアテもないし、つっ立ってると暑い。

断る理由が、ないよね。

それに、あんなに憧れてた真紀ちゃんと、友達みたいに喋ってるんだ、あたし。

「うん。乗せて」

「オーケー」

あたしは、その、ピンク色に塗装したヤマハのJOGに、ちょこんと乗っかった。

「しっかり、つかまってなよっ!」

「うんっ!」

きゅっ、と真紀ちゃんの細い体にしがみつく。