14才の地図

みんみんみんみんみん。

セミだって、みみっちく啼いてる。

ああ。もう、たくさん!

「へぇい! まーい。荒れてんねー。どーしたのさぁー」

えっ?

あわてて、声の主を捜すと、いきなり目の前にスクーターが走って来た。

「真紀ちゃん…」

乗っていたのは、あの、真紀ちゃんだった。

金髪が、太陽できらきら光って、すごくキレーだ。

一瞬、天使が降りてきたのかと思った。

でも、中学生がスクーターに乗って…。

「真紀ちゃん、免許…」

あたしは、変なことに気がついてしまう。

真紀ちゃんは、ちょっと首をすくめて、

「あははははぁっ!」

おっきな口を開けて、笑った。

「えー。無免っ!」

「ばーか。でけー声、出すんじゃねーよっ!」

それに…。

「ノーヘルだぁ…」

「細かいことにこだわんじゃねーって」

うん。そーだよね。

それって、すごく今のあたしの気分だ。