「でさ。問題は、そのとき、何を視るか、じゃねーの?」

周りが見えないのに、何かを視るの?

「じゃあ、朽木は、何を視たの?」

「言葉になんか、出来ねーよ。だから、判んねーヤツには、説明なんか出来っこねーの」

「ふうん」

「生きる長さなんて、関係ねーんだよ。今すぐ死のーが、おいぼれて死のーが、5秒以内に駄目なヤツは、もう、駄目に決まってんだよ」

5秒。

朽木が、よく、言う。

そーっと眼を閉じた。

いち、にい、さん…。

「まーいっ」

え? 真紀。

「なーに、やってんだよっ」

「んー。べつにぃ…」

「かったりーから、フケちまおうよぉっ」

「さんせーっ!」

さっさと話がまとまって、あたしたちは、5時間目の前に、学校を抜け出した。