朽木に連れられて、さつきサンの部屋に上がった。

広い、フローリングのリビングルーム。

エスニック調の家具で統一した、シックなお部屋だった。

「いらっしゃい」

さつきサンが、にこにこ笑って、あたしたちを迎えてくれた。

「はやいとこ、糸ぬいちゃって。遊び、行くから」

朽木が、ずかずかと上がり込んで、ローソファーに腰をうずめる。

勝手知ったるなんとやら、ってトコだ。

「あら、お茶くらい、飲んでいくでしょ?」

「いい。今日、デートなんだぜ。気ぃきかせろよ」

さつきサンは、首をすくめる。

しょーがないわね、って顔であたしを見て、同意を求めた。

あたしは、朽木にバレないように、こっそり、うなずく。

さつきサンは、ふふ、と笑って、隣室へあたしを誘った。

今日のさつきサンは、デザイナーズブランドの麻のワンピースをルーズに着崩していて、ほんとに、大人の女の人ってカンジだ。

ほんのりと香るコロンの匂いが、とてもなつかしいような、妙な気分。

もしかしたら、あたしは、実は、ママが恋しいのかな、なんて、自嘲的に思った。

「まいちゃん、一平のこと、好き?」

いたずらっぽく笑って、さつきサンは訊いた。