「んー。その約束ね、多分、ナシ」

「なぁんでぇ?」

「俺が、教えてやるって」

「ぎょ」

「なぁにが、ぎょ、だよ?」

「朽木って、やたら怒りそう…」

「ばぁか。優しく教えてやるって。約束」

「やだぁ。朽木と約束すると、ロクなことないもん」

「相性が、いーんでねーの?」

軽口をたたいて、朽木は、発進した。

ぐうんと、Gがかかる。

やっぱり、バイクって、最高。

気持ちいー…。

こんなふうに、あたしも、風を切って走れたら…。

どんなに、気持ちがいーだろう。

大きなバイクを自由自在に操って、海岸線を疾走する自分の姿を想像すると、わくわくした。

そうこうしているうちに、さつきサンのマンションに着いた。

今日は、非番で、休んでいるところを、あたしのために時間をさいてくれたらしい。