14才の地図

「あたしさぁ、1年、ダブってるって、ガタが言ってたでしょ?」

「あ、うん」

「誰にも言ってないことなんだけどさぁ…。あたしの父親、酒乱でね。母親、あたしを連れて別の男の所に逃げ込んだわけよ。幼稚園に入る歳だったから、細かいことは憶えてないけど」

「うん」

「幼児虐待ってヤツ? あたしは、その男にいつも殴られてた。子供を殴るとコーフンするらしくて、なんか、オソロシクそそりたったものを、こすりつけたりしてさ」

「ひ…どい…!」

あたしの驚きをよそに、真紀は、淡々とつづけた。

「あたしは、4才でツッコまれて、身も心もボロボロになって、しまいに、眼が見えなくなった」

「眼が?」

「心因性のものなんだって。で、さすがに母親もあわてて、あたしを病院に放り込んだってわけ」

そんな…。

そんなことって…。

「眼は見えるようになったけど、小学校に上がれた時は、他のコより1年遅れてた。…これが、真相」

気がつくと、あたしの頬を、涙が伝っていた。

こんな話、したくなかっただろーに…。

幼稚園で番はってたとか、ガタがふざけて言ってたじゃん…。