「そいじゃ、ハナワリバシか、納豆か…。用意はできてるぜ」

ハナワリバシ? 納豆?

あたしには、チンプンカンプン。

でも、みんなの反応が堅いから、オソロシイことに違いない。

「まい、どっちがいい?」

朽木サンって、サドだぁ。

みんな、ドキドキもんで黙ってるのに…。

「あー。あたしねぇ」

困っちゃったな。

えーと。

「ケンタのオレンジシャーベットが食べたいなぁ…」

えっ?

ってカンジで顔を上げたみんなに、にこっって、微笑んだ。

とたんに、朽木サンが、こらえきれなくなって吹きだす。

「良かったな、おまえら…」

笑いながら、朽木サンが言う。

「おら、羽賀! 買いだし、行ってこい!」

命令は、厳しい口調。

「押忍っ!」

羽賀が、飛び出して行く。

そのあと、みんなで、羽賀の買って来たオレンジシャーベットを食べた。

そうしたら、なんか、すごくうち解けちゃって、ずっと昔からこの人たちの中に居るような、そんな気がしてきた。

みんな、あたしのケガのこと、気にしていて、かえって申し訳ないくらいだった。

腕と、瞼に、消えない傷をもらって、あたしは、『紫天使』の仲間になった。