裏口に回り込むと、やはり鍵は開いていた。
私が先に建物の中に入った。電気の止まった屋内には全く灯りが無く、足元がどうなっているのかさえ分からなかった。
ただ、先日ここに来ていた為、室内の構造を覚えていて手探りでも店舗まで辿り着いた。
5分余り店舗内に立っていると、徐々に暗闇に目が慣れてきて、本棚の位置や古本の積み重ねられた山が見える様になってきた。
思えば、この古本屋には結果として何度も来た。そして、店主とも何度も話しをした。
それが、こんな結末を迎えるなんて…
動く物が何一つ無い静寂に包まれた空間には、私と愛美の心臓の音しかしない。
激しく打ち付ける鼓動は、終わりの時を引き寄せている。
決着の時はきた――
私はすうっと息を吸い込むと、店内に響き渡る様に吐き出した。
「金山 チズ子さん。ここにいるんでしょ?」
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