「でもさ、結局あの店主は何でこんな事をしたんだろ?」
歩きながら愛美が、ぽつりと漏らした。
確かに、身寄りは無いし、近所や周囲の人間関係にも問題は無さそうだ。
それなのに、なぜ無差別大量殺人を実行しなければならないのだろうか…
5分余り歩いていると、駅前まで戻ってきた。古本屋の3件隣が、その金物屋だ。
古本屋の前で立ち止まって見ると、通常のコンビニ並の大きさの金物屋があった。
高校の時からよく通った道だが、余り気にした事も無かったので、今日初めて金物屋だと認識した。
私達は金物屋に行くと、住職から言われた様に、禅福寺から紹介された旨を伝えた。
白髪の痩せた神経質そうな町内会長は、私達を四角い眼鏡の奥から一瞥すると、椅子に座った。
「それで、何の用なんだい?
住職の紹介なら、話を聞こうじゃないか」
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