ハッピー☆ハネムーン



「大丈夫?」



耳元で低い声がした。

息がかかりそうな距離。



「・・・あ・・・はい」



あたしはなぜか動く事が出来なくて、そう言うのがやっとだった。


あたしの声を聞くと、彼は「よかった」と柔らかく笑ってあたしから離れた。




「あ・・・ありがとうございました・・・あ、あのッ ごめんなさい」


「うんん、転んじゃわなくてよかった」



やだぁ・・・
見ず知らずの男の人に助けられるなんて・・・




もう、火が出るくらい顔は真っ赤だよ。




・・・熱いもん。

汗吹き出てきたもん。






「葵」



まともに彼の顔を見れずに俯いていると、背後で声がした。



我に返り振り向くと、そこには慶介が立っていた。


慶介は横に並ぶと「大丈夫か?」とあたしの顔を覗き込んだ。



「う・・・うん。平気」



そう言ってみても、全然平気なんかじゃないよ。

心臓に悪すぎ。


だって、慶介にも見られちゃった。


慶介は「そっか」と目を細めると、目の前の彼に視線を移した。




「妻がご迷惑をかけました。ありがとうございました」




つ・・・妻!?


妻って・・・妻って今・・・そう言ったの!?


口を開けたまま慶介を見つめる。





慶介は綺麗に頭を下げた。

その言葉に、彼は「え?」と声を上げた。