恋スル運命

鞄から名刺入れを取り出して一枚渡してくるのを受け取った。




神田麗子 と太字で書かれた名前の他に、目を引いたのは職場の名前。

ギャラリー神田って事は……




『親子で画廊を経営してるんです。先生の絵も光栄な事に毎回私の所でお世話させて頂いてるんですよ』




付け足すように話しかけてきて名刺から目線をあげると、海偉の横にぴったりと並んで立ち、私を見てくる。



『…先生、こちらの方を私には紹介してくださらないのですか?』




チラリと海偉を見てまた私に戻した視線に不快さを感じ取った。




口は弧を描くように笑みを浮かべて、丁寧な口調だけれど目は笑ってない。




隣に立つ海偉は気づかないだろうけど、目だけで私の上から下まで値踏みするように見てる。




……何この女。


初対面でケンカ売ってるような態度。




すごくムカつくんだけど。