髪からゆっくりと手が離れて私の手に触れた。




駅前を目指して歩き始める海偉。




「ひとりで歩けるから」




『顔が赤い。まだ酔っぱらってるんだろう?
転ばないようにしっかり掴んどけ』




離そうとした私の手をぎゅっと強く握りしめて引っ張る。




引っ張られても痛くない。強引なんだけど、優しい。



だってちゃんと私の歩幅に合わせて歩いてくれてる。
私の顔色を伺って心配してくれてる。




そんな風に気遣うから赤い顔が戻らない。

顔が赤いのは酔いのせいじゃない。




海偉の、せいなんだから。