『悪かったな。急遽描きたい絵が出来て、家に篭ってた』




海偉に会いたかったと気付いても、素直に会いたかったなんて言えない。

ていうか海偉の余裕綽々な態度が悔しいから言いたくない。




「………違うって言ってるじゃん。私は聞きたい事があっただけなんだから」



そう言って腰に回されてた手をほどいて海偉から離れた。




『フッ。そういう事にしといてやる』




私の言葉が照れ隠しからきた言い訳なんだってわかってるっぽい。




それがまた悔しいやら恥ずかしいやらでプイッと顔を背けると、頭をポンと叩くように撫でてくる。




『髪、さらさらで綺麗だな』




その手が髪を撫でてゆっくりと毛先へと動き始めた。優しく髪を鋤く動く指。




もう何だろう。
さっきから海偉の言動にドキドキさせられっぱなしだよ。