恋スル運命

嘘。ジョージさんの他にも誰かいたの?




しかも私待ち!?




「すみませんでした!急いで支度しますので!!」




ここへ入る時、挨拶もなしに素通りしてしまったのよね。




待たせてる上に知らんぷりなんて失礼すぎるわよ、私!




来客者がいらしてるならジョージさんも叩き起こしてくれれば良かったのに!




軽くパニックを起こしながら顔を拭き、跳ねている髪にブラシを通す。




顔に化粧水もつけてないけど、
髪だってまだ少し跳ねてるけど、仕方ない。




私を待っている誰かの声、ちょっとウンザリしてたっぽいし。




これ以上待たせる訳にいかないもの。




ひとつ深呼吸をして隣の部屋へ行こうと体を向けたら、いきなり現れた壁のようなものに顔からぶつかってしまった。




「んぷッ!?」




『大丈夫?』




壁だと思ってたのはジョージさんの体で、ぶつかった私の肩を支えて覗き込まれる。




「だ、大丈夫ですっ」




ホントはぶつけた鼻がツーンとしてるけど、それどころじゃない。




「あの、お待たせしてる方へご挨拶…
いえ、待たせ過ぎたことのお詫びが先ですよね」