恋スル運命

『ああ…サラ、ようやく実物に会えた』




満面の笑顔で私の手を取り、甲にキスを落とした。





「ジョージ、様ですか?」



尋ねてから、しまった!と後悔した。




写真渡されてるのに本人か尋ねるなんて、なんて失態しちゃったんだろう。




案の上ジョージ様は切れ長目を見開いて、海を連想させる綺麗なブルーの瞳で私を見ている。




「ごめ……」
『サラ、様づけで呼ぶなんてよしてくれないか?

今日から夫となるのに他人行儀で悲しいよ』




「は、はいっ」




よ、良かった。写真を見てない事には気付いてなかったんだ。




「ではジョージさんでよろしいですか?」




『本当は呼び捨てでいいんだけど…。敬語も堅苦しいから使わなくていいんだよ。
ま、会ったばかりだし仕方ないかな?

徐々に、ね?』




私の手を取ってお屋敷へとエスコートしながら、優しく微笑む。




私の想像してた人とはかけ離れてて戸惑った。




仕事の取引きとして私を所望する人なんだもの。

人の気持ちなんて考えない自分勝手で冷徹な人なんだろうと、思ってた。




だけど



実際会ったジョージさんは違う。




優しい目に笑顔。
暖かい手。





好きに、なれるかも。




ジョージさんの横顔を見ながら、そう思えた。