恋スル運命

しばらくすると、道も良くなって車の揺れもなくなった。




さすがに寒くなってきて窓は閉めた。




窓を閉めると耳元で聞こえてた風の音が止んで、車内に静けさが戻った。




聞こえるのは車のエンジン音だけ。




それでも高級な車だから十分と静かなものだった。





ジョージ様の元へ向かうまで、私もユーリも、目の前に座るジョージ様の使いの人・エドガーさんも終始無言のままだった。











長い道のりを走り続けて、ようやくたどり着いた時、座りっぱなしの体は疲労を訴えていた。




そんな私に車からエドガーさんが降りて私に手を差しのべる。




『長旅お疲れさまです。足下にお気をつけください』



手なんて借りなくても降りられるのに。




でもそっと手を重ね、もう片方の手でスカートをつまんで、おしとやかに降りる事にした。




『待ってたよ!』




車から降りてすぐに爽やかな声がした。




長身の男性が歩み寄ってくる。




エドガーさんがその人に向かって礼をした。




今しがた外に出たばかりなのだろう。
コートもスーツの上着も羽織らずに、上はシャツにウェストコート姿の男性。