恋スル運命

胸元に押し付けられる顔。



彼の服から香る不思議な匂い。




香水とかそんないい香りじゃない。彼の家の匂いともいうのかな?




どこかで嗅いだことのある癖のある匂いだ。


いい香りとは言えないけれど、私はそんなに嫌いな匂いじゃないな。
どこか懐かしい感じがする。




そんな事を考えてたら、髪の毛を手でくしゃっとされながら更に強く抱きしめられた。





ちょっと!せっかく念入りにメイクして、髪だって綺麗に巻いてセットしてきたのに乱さないでよっ。




いやいや、それよりも!!




「は、離して下さい!私はあなたなんて知らないっ!!」





両腕で体を押し退けると、意外とあっさりと離れてくれた。





髪を手で整えながら、目の前に立つ海偉という男を座ったまま見上げた。




何て事するのよ!




非難の目で見上げると、そんな私を鬼のような形相で睨みつけている。





な、何で私が睨まれてるワケ?




意味わかんないっ!!