「何ですか?あたし、コスプレ野郎には興味ないんで…」

「草柳剛!」

「は?」

「俺の名前」

いきなり自己紹介をしてくる彼。

…気持ち悪。

それが、彼に対するあたしの気持ち。

第一印象であった。

「今日からこの病院勤務になったんだ。よろしく」

手を差し出した。

握手でもしたいんだろうか。

「あたしの心臓治してくれんの?」

差し伸べた手に

手を出すこともなく

そう言った。

彼は、自信たっぷりに

「分かんない」

そう言いきった。

「は?」

普通…

全力を尽くす

とか…

頑張る

とか…

必ず治す

とか…

じゃないわけ?

少なくとも今までの医者はそうだった。

でも

あたしは

そんな医者に

期待はしない。

実際…

治らなかったから。

でも

この人は……