Cage

「メシだ。メシだ」
そう言いながら空いている席に着いた。
「なんか。緊張してたみたいでね。授業が終わったら急に腹減っちゃってね」
そういってさっさと食事を始める。

「で?。君たちは?」
少ししてヤマトが聞いてきた。

「私がカオナ。そっちがミウ、こっちがユウマ」
簡単に紹介する。
「よろしくお願いします」
ヤマトは背筋を伸ばして礼儀正しく頭を下げた。
「こ、こちらこそ」
ミウだけが頭を少し下げて挨拶した。
ヤマトは笑顔でミウを見つめて頷いて食事を再開する。

「ホント。どこから見ても日本人だよね」
カオナが肘をついた手に顎を乗せ、ヤマトの食事する姿をしげしげと眺めながらポツリと言った。

「よく言われます」
ニコニコして食べ続けている。日本人と言われることに嫌悪感はないようだ。
ミウはそんなヤマトを静かに見つめた。



「教授って、彼女いるんですか?」
カオナが急に聞いた。
「ぶっ」
予想していない質問に驚いてパスタを吹き出した。
「カオナっ。急になにを言い出すのっ?」
ミウが真っ赤な顔で静止する。
「別にぃ。気になっただけぇ」
涼しい顔で答えた。

「げほっ。げほっ」
ヤマトは咽せていて声にならない。

「はい」
ユウマが給水機から水の入ったコップを持ってきて差し出した。
「あ、ありがとう」
目に涙を浮かばせて受け取って、一気に飲み干した。

「いやぁ。知りたいと思う欲求は大事だよ」
苦しそうにそう話した。
「答えになってないな。ま、いっか」
カオナは不満足そうに首を横に振った。
「げほっ」
ヤマトはチラリと横目でカオナを見て咳払いをひとつした。