港北が、練習している。

コーチの大声が響く

   「遅いぞ! 走れ。
    そんなんじゃ、県で、勝てないぞ」

港北キャプテン、サイド・ラインに出てくる

膝に手をつき、ハアハア言っている

顔を上げ、窓の外を見る。

3人の姿が小さく、見える。



坂の上の佐紀と梨沙、あわてて、後ろを向く

つられて、友理も、後ろを向く。

友理 「何で、後ろ、向くのん?」

佐紀 「わかんない」

梨沙 「偵察に来たと、思われるじゃん」

友理 「偵察って……、ウチら、ライバルや
    思われてないのんちゃう?」

梨沙 「確かに」

佐紀 「言えてる」

恐る恐る、振り返る、佐紀達



港北コーチの、大声が響く

   「どこも、新人大会より、
    レベル、上げて来るんだぞ。
    優勝したからって、安心してると、
    やられるぞ」

必死に走っている、港北

   「シュートを、入れろ。
    お前ら、レギュラーの足、
    引張ってるだけじゃないか」

必死に走っている、港北

   「なんで、わからないんだよっ」

必死に走っている、港北

   「走れ!。このぐらいでへばってちゃ
    勝てないぞ」

港北キャプテンが、サイドに出る。

膝に手をつき、ハアハア言っている

顔を上げ、窓の外を見る。

しかし、3人の姿は無かった。



3人、神妙な顔をして坂道を下りて行く。

梨沙 「みんな、必死なんだ」

佐紀 「うん」

友理 「ホンマやなあ。
    ウチらも、もっと頑張らんと」

佐紀 「うん」