体育館から、冬の制服に着替えた佐紀達が、
うつむいて足取りも重く、出てきた。
雅美が突然、大きな声を出した。、
雅美 「あー、やだやだ、全然面白くない」
前を行く佐紀に、声をかける。
「佐紀、あんた、やってて面白い?」
佐紀 「そりゃあ勝ちたいけど……」
雅美 「私達、こんな部活、もう辞める」
雅美の言葉に、全員、ピタッと静止した。
一瞬の静寂のあと、佐紀が振り返り、
佐紀 「そんなぁ。
雅美、バスケット好きなんでしょ」
雅美 「うん、好きだよ。
でも、全然、面白くないもん」
佐紀 「じゃあ、やろうよぉ。
ん?……私達?」
千奈 「私も……」
果歩 「私も……」
千尋 「私も……」
雅美の後ろから顔を出し
雅美の取り巻き3人衆が、
すまなさそうに、次々と手を上げた。
3人は、雅美と同じ小学校の、
ミニバス・チーム出身である。

