校舎玄関に、5人、歩いてやって来る。
入口の階段に、並んで腰掛けて、
梨沙 「もう、いいじゃん。
コーチも来ないんだし、
好きな練習しようよ」
佐紀 「でもー、せっかくコーチがついて、
教えてくれることになったのに」
梨沙 「こんなんで、コーチ、
ついてるって言えるの?
来てないんだから、
何したって、いいじゃん。
ひょっとして、もう、来ないかも」
佐紀 「そんなこと無いよ」
自信なげに
佐紀 「……たぶん」
梨沙は、体を起こし、後ろに手をつく
梨沙 「あーあ、大場先輩も、
卒業しちゃったし」
友理 「大場先輩って?」
うんざりした顔で、佐紀が
佐紀 「男バスに、かっこいい先輩が
いるからって、
それだけの理由で、
バスケット、始めたの。
ついでに私の入部届も、
勝手に出して…」
梨沙 「佐紀も、カッコいいって、
言ってたじゃん」
佐紀 「それは、そうだけど…」
梨沙 「それに、バスケットの練習なんか、
全然、してないじゃん。
ただ、走って、跳んで…」
友理 「ホンマ」
佐紀 「だから、それは、スタミナ…」
梨沙 「もういいじゃん。いい加減、
同じ練習、飽きちゃった」
佐紀 「コーチ、つけてって言ったの、
梨沙でしょ」
梨沙 「そうだけど……。
こんな練習になるなんて、
思ってなかったんだもん」
佐紀 「だからぁ」
梨沙 「もう、佐紀は、真面目なんだから」
むっとする、佐紀。
口を尖らせて
佐紀 「そんなこと無いよ。
私だって、やる時はやるんだから。
わかった。
もうこんな部活、解散、解散。
やめよう?」

