夜、団地の1棟。

テレビを見て笑っている友理。

   「ハハハ、こんなやつ、いてへんで」

台所から、母が声をかける

   「どうなん? 学校」

   「うん、まあまあかな?」

   「友達、出来たん?」

   「うん。バスケ部の子。
    佐紀と梨沙、言うねん。
    幼なじみらしいんやけど、
    ホンマに、仲がええねん」

   「あら、そうなん?よかったやん。
    やっとくもんやねえ。
    あんなバスケットでも、
    役に立ったやん」

   「そいでな、また、
    バスケ部に入ることにしてん」

   「えっ、なんでやのん? 
    あんなに、バスケットなんか、
    二度とせえへんって、
    言うてたやんか」

   「ウン……、でも、
    みんな、ええ子みたいやし、
    今度はあんなこと、ないと思うわ」

   「そんなん、わからへんわ。
    コーチ次第やで。
    どんなコーチやの?」

   「いや、いてへん。なんか、
    探してるみたいやったけど」

   「そら、よかったやん。変なコーチ、
    付くくらいやったら、
    いてへんほうが、
    よっぽど、ましやわ」

   「ホンマや」

   「今度は試合に出られそうなん?」

   「部員が、私、いれて、
    5人しかいてへんから、
    一応レギュラーなんやけど」

   「あら、そうなん?
    そりゃ、よかったやん。
    みんな、上手いのん?」

   「そうでもないわ。
    私と同じレベルかなぁ?
    せやけど、楽しゅう練習、
    出来たらええねん」

   「せやね。前みたいな、
    勝つバスケットだけが、
    バスケットや、ないんやから」

   「うん」

   「あんた、友達は、
    大切にせな、あかんよ」

   「うん、わかっとう」(わかってる)

   「じゃ、御飯にしよか?」

   「うん」