アリーナへと続く通路を
胸を張って歩いて行く、佐紀達港南チーム

その前を、三田と顧問が並んで歩いている

顧問 「港北が、楽に勝てると思って、
    手を抜いてくれたら、
    勝機もあると思うんですけどね」

三田 「いや、それはないでしょう。
    今までの試合を見ていますからね

    手強いと、向うのコーチも
    思っているはずです」

顧問 「ですよねえー。………」

真顔になる顧問。前を向いて、歩きながら

顧問 「三田さん」

三田 「はい?」

顧問 「ありがとうございました。
    あのチームを、
    ここまでにしてもらって……。

    いやあ、200点取られた時は、
    ホント、
    どうなることかと思いましたよ」

三田 「いや、これは
    あの子たちの力ですよ。

    皆、能力は持っているんです。
    ただ、使い方を知らないだけで。

    私は、勝つバスケットは、
    教えていないですからね」

三田の頭には、南城高校の顧問に
謝罪している姿が、浮かんでいた

三田 「それと、
    彼女たちがここまで伸びたのは、
    チーム・ワークが良かった
    せいですかね。

    互いを思いやる心が、彼女達を、
    ここまでに育てたんだと思います

    新しいことに出会う度、
    彼女達は、成長してきました。

    この試合が、どうなるかは、
    わかりませんが、
    彼女たちはまだ、
    発展途上ですから、もっともっと
    大きくなると思いますよ」

顧問 「そんなもんですかねえ」

歩いて行く、三田、顧問


後ろから、胸を張って歩いて行く佐紀達